Thursday, January 12, 2006

**火の光

閃光一条夕闇を走る度
必ず一つのの命が散る
薄闇と夜帳が交錯する
此処は戦場
獣をはらう火ではない
命を散らす火が弾ける
轟音は一瞬遅れ訪れる
地鳴りは更なる其の後
網膜を焼く熱と光来て
漸く冷めた頃
気づけばさっきまで笑っていた
あの人の手足が飛び散って
あの人の命は自覚より先に彼岸へと逝く
そんな街にいたわたしには
この国のネオンが眩く怖い
色彩を変えては点滅する光
まるで命をもてあそぶよう
けばけばしい原色の光の中
楽しげに酔っ払い笑う人々
あんた達は誰
あんた等は何
あんただって同じ生き物
同じ命の重さを持つ
同じ地球に住まう
同じ生命なのに
全く違う生き方死に方
紙と鉛ほど異なる重み
其れは命
計測すれば二グラムの
同じだけの幸不幸の筈
現実は予言通りに神の御心を裏切って
こんなにも命の重さを変えた
軽々しく自殺して
簡単に他殺して
蚊も殺せぬ顔で虫を潰すように命を踏み躙る国
平和に惚けた国なんて幸せな国
そんな国から来たわたしは
この戦場では異邦人
此処砂漠では異種者
殺したって焼き払えば誰にも咎められない
其の程度の軽い生物
冬暁の空隙
真昼の自爆
暮れの発砲
深夜の攻撃
此処がわたしの生きる場所?
其れとも逃げ帰るべき場所?
考える暇も与えず繰り返される悲劇
其れを日常と受け取る子供
此れを運命を諦める大人達
太古より憩うべき火の光
人間にのみ与えられし光
神が許した人間の特権が今全生命を滅ぼしつつある
アカシックレコードにはこの次の時代が既に書かれてあるだろう
一体其処に存在するのは





若しくは
冷たい無機物
有機物を排除した美しい世界が待っているのかも知れない
人は徒に生き急ぎ死に急ぎ
急いて滅びる
総じて滅ぼす
今此処は戦場
無力なわたしは友人の手足を拾い集め
空爆の残り火で焼き清めるしかない
死んだほうが幸せなのか
生き延びてこそ幸なのか
問いながら答えを探し見間違い見迷い
いつか死ぬ
其のときを待つだけ
焔舞う中で
其のときを待ち侘びるだけ

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