Monday, January 16, 2006

wまほろば

急速な高度経済成長を果たした
この国が辿り着いたのは
目が合えば立派な殺人動機となる
血族他人構わず殺しあう電脳社会
夏さえ寒い満員電車では
犇く人々が誰とも視線を逸らし言葉を交わすこともなく
稀有なる縁を引き千切り孤独地獄に引きこもる
皆同じ化粧を施して同じ色に髪を染めて
瞳を塗り潰した顔で行き交う擦れ違う
現実を破棄し逃避し嘘で作り上げた虚構現実
己を電波に頼りばら撒く実像はなく
虚像だけの理想世界に生きる人々
ユートピアは見付かった?
見付からないから自分で作るのね
握り合う手も優しい声音も弾ける笑顔も全てが極上の嘘うそウソ
信じ助け合うことは愚行
義務を捨てる権利を主張
愛は初めから壊れていて
失うものも守るものないとても気楽な世界
快楽に溺れる社会
灰と塵が降る都会
凍える寒さの世間
無気力が漲る若者
時流に乗れない男
肥満過食に悩む女
飢えを知らない子
虐待を受ける老人
わたし達はきっと退化を極めた末に滅び間近な理想郷へ辿り着いたのだ
もう成長は要らない
何の努力も要らない
誰の情けも要らない
嗚呼此処が古の倭人が夢に描いた
まほろばだったのだね

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