Monday, January 16, 2006

wAll to pieces.

東京には空が無い
或る詩人の妻がそう言った
まだあの頃はぎざぎざだけど仄青い空があったのに
彼女に教えてあげたい
東京の空はもっと小さくなりました
高層建築物の群れが凸凹に空を齧り
都会の人混みの中
振り仰ぐとまるで
曇天を写したジグソーパズルの数ピースをでたらめに上空へ放り投げたよう
しかも投げられたピースは全部裏返し
青灰色の模造紙が幾何学模様を描き世上の汚れを映し撥ね返す
そして東京には日の出も日の入りもなくなりました
大気汚染と人心汚染が成層圏に充満し
ビル達が地平線を削り
人工電飾が十六時に灯り
夜を失い久しい街は昼まで失いました
太陽は軽んじられてお怒りなのか
必死で慕うが届かないのか
人間の傲慢を嫌い拒むのか
恵みの陽光はネオンに負けるほどしか降らず
有害な紫外線だけが分厚い泥雲と廃瓦斯を貫いて地上を射す
昼夜無い街には二十四時間年中無休の有用利便店舗に集う白昼夢だけ
人も物も獣も鳥も虫も魚も夢のまた夢
夢の波飛沫青波銀波の泡
瞬間の煌めきを放ち呆気無く弾けて消える
人の夢は儚く
儚さが真実
幻夢で構築された砂上の街東京
大和の繁栄
次世代の都空を失った夢の都市は
ばらばらに……

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