ある晴れた日に
窓の外眩しいほどに晴れてわたしの心潰れそうに暗い
心の闇は通常人の闇とは違い
精神を病んだもの特有の物理的重さと感触を覚える闇
自称統合失調症の男が十八歳の女を拘禁した
そんな奴と一緒にしないで
本当に狂った奴はね
自分が気違いだって気が付かない
悲しいよ
いきなり病院に連れて行かれ
見知らぬ白衣の男にあれこれ訊かれ
挙句お前は精神病だと診断書を突きつけられる
ホントの気違いは
血液検査で数値的に実証される
昔みたいな医者の予想じゃない
血中のホルモンやら血圧やら体重やら
見せ掛けじゃなく歴然とした数字が気違いを裏付ける
隔離拘束チューブだらけ
でも血管は栄養の流入を嫌がって膨れ上がり針を吐き出す
血圧は上が六十下が四二
何時の間にか異常が普通になってしまった
笑っちゃうよ
自称鬱病者
あんた等には決して理解できない
わたしだって十二年前は知らなかった
この想像を絶する苦悩
手首切る痛みだけが自分を保つ蜘蛛の糸
途切れればわたしが無くなる
消えてなくなりたいと内心本気で願うのに
今生き延びる自分をこんなにも憎むのに
毎日あんなにも事件事故で人が死ぬのに
どうしてわたしには訪れない?
待ち侘びる致命的な一瞬
自殺を止める人へ
止めるなら殺して下さい
できないなら放っておいて
涙が出るほど迷惑な優しさ
そんなのはもういらない
欲しいのは致死的な何か
空は晴れ
心は曇り
頬には涙が粘りつく
こんな晴れた日は
格好の首吊り日和
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