いえないこころ
悲しみ背負い家路を辿れば遥かに輝ける憩いの街の灯
別れ胸に秘め此の道行けば
遠くに輝ける愛しき君の瞳
心には冬の凪
束の間の安眠
君の寝顔に心残して
君の寝息に心引かれ
君の寝姿を瞼に焼く
今君にキスしたなら
旅立ちが一日伸びる
だから何も言わずに僕は家を出る
さよなら
一言が言えなくて
愛してる
一言も言わないで
冷たさだけ残して隙間風に君任せて
僕は此処発つ
心に纏い付く鎖を解けば
刺す寒風を貫く如き月光
歳老いた星々
年重ねる自分
見比べては其の小ささを嘆く
君の寝顔携え僕は出立する
何処へとも知れぬ当て所無きこの道
所在地は星で測る
彼の星が右なら北
其の星が傾けば西
此の星が消ゆは南
何の星が流るは東
心許無い
心許せぬ
心残して
心捨てる
今から向かう場所は都会
人が死んでも泣かない所
人を愛すより憎むべき処
だから君の面影だけ連れ無言で立ち去った
許せとは言わない
詫びすら言えない
この胸は癒えない
此処には居得ない
逃げ帰った道をまた行く
この身勝手は自分らしく
君の泣き顔は志雄らしく
だから無言で僕は旅立つ
心の中で泣きながら
君より激しく泣きながら
言い出しそうな言葉飲み込む
傍にいていえない心は
月影任せ
夜風任せ
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