馬鹿の恩返し
息を吐くともう吸い込めないこの痛みこの人生で幾度繰り返し味わっただろう
もう飽きた
酷く疲れた
いっそ自分の手で腹に巣食う腫瘍を抉り出したく思う
何時まで健常者の振りを続けられるだろう
何処で死に掛けだと暴かれるだろう
この瀬戸際でギリギリの強がり
馬鹿みたい
わたしの生死など
わたしが思うほど
誰も気にしないよ
分かっていても
平気の振りを続ける
正気の真似を続ける
狂った欝病癌患者
救いの無い闇の中
医者は事務的に経過を告げる
看護師はお節介に世話を焼く
どちらも嫌い
放って置かれるのも悲しい
ならどうして欲しいのと
事情を知る友人が聞く
其れが分からないのね
モルヒネが癖になった
孤独放浪も癖となった
裏切りももう習い性
凄く虫が良いけれど
叶うなら平気を装いカッコつけたままである日突然死にたい
死ぬときは他人の中がいいな
泣かれながら死ぬのは嫌だな
最後までこの虚勢続けられるのかな
続けなきゃ
其れが唯一の恩返し
この馬鹿になし得る
最初で最後で最大の恩返し
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