煙草を一本
全てのものが必ず終わる出来事も事件も悲しみも怒りも愛も恋も友情も
命だって終わる
誰もが死ぬために生まれ出るのだから
その一瞬一瞬を精一杯生きるより
わたし達に何ができよう
明日の約束だって不確かな浮世
一時間後の予定さえ定まらぬ世上
将来を考えるなんて何の意味も無い
なのに人は懸命に今を犠牲にして
来るとは限らぬ未来のために勤しむ
何一つ無為なものが無いとお釈迦様も説いているのに
執着を捨てろというそのお釈迦様自身が
涅槃への執着を捨てられなかった
馬鹿だねホントわたし達
刹那的快楽に身を任せこのまま死ねたらいい
もう痛いのも寂しいのも飽きたよ
帰りたい場所の無いわたしは
また今夜も街をふらつく
一夜だけの相手を探して
体温を分け合って
朝日と一緒にシャワーで流し去り
またひとり
命尽きる日を願い彷徨う
生きたくても生きられない人
死にたくても死ねない人
どちらが一体可哀想?
同じくらい惨めだよ
自殺を試みるその瞬間が一生で一番生きたいと願ってる瞬間
もし頭を悩ませる問題の何か一つが解消すれば
死なずに済んだのにと
全ての手段を尽くし金も労力も費やし尽くし
もう何もなくなったとき
ふっとね
生きることと死ぬことと天秤にかける
無資力で生きるより死亡時生命保険のほうが大きな利益なったとき
人ならではの自死を選ぶ
簡単に死ぬなと軽く言わないで
叱咤するのならこの抱えきれない痛みを一つ引き受けて
何もしてくれないならお節介もやめて
自己満足でしょう?
いい気分でしょう?
人間一人助けたって神様気取りでしょう?
お茶の間の話題にわたしを載せないで
わたしは今も死を願う
生と死の重みがわたしの天秤では逆転した
だからねえ
余計なお世話より煙草一本恵んでよ
一服の間分だけ
延命できるから
LARK一本分の延命
果敢ない煙に似た人生
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