安眠
悲しくて虚しい死の可能性有と宣告されながら
今日も生命を屠っている
米も小麦も肉も魚も
わたしなんかに食われるため成長したのではないだろうに
まるで夜鷹だ
死に急ぎつつ虫を食う醜い鳥
後二週間でこの苦しみも悲しみも
些細な笑いや慰めも終わるのだろうか
其れを望む自分が
認めたくない自分を
冷たい目で見ている
ドウセオ前ハ死ヌノダ食物ヤ水ヤ空気ヤ薬ノ無駄ダ
絶え間なく囁く声は
死を誘う声の主は
本当のわたしなのか
精神病が生み出した偽者なのか
もう判らない
楽になれと言い聞かせるわたしを
何とかこの世に繋ぎ止める自分が
必死にその現出を抑えている
何時反転するだろうこの
痛みと吐き気では間近な気もする
治療の度に死を願う
こんな苦しみに耐えたって
オペに失敗すれば全てが無駄全部が徒労
なんて虚しい
そして悲しい
あきれるほど晴れた夜でも星は見えない
極彩色のネオンが星に代わり宣託を下す
死ね
ネオンの瞬きはその一言だけ繰り返し
狂った占星術が狂ったわたしを殺す
こんな夜は眠られる
悪夢に魘されて眠る
眠るほど疲れる
睡眠薬が齎す重くて暗い
疲労重ねるだけの眠り
でも其れが生きている証拠
いつか安らぎが来るのかな
それなら生も死も構わない
手に入るなら目一杯苦しもう
唯一つ望む
其れは安眠
赤子のように生も死も気にせず
安らかに眠りたい
一秒でいい
眠りたい
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