Thursday, January 12, 2006

果実の想い

真新しいもぎたての梨や林檎
息づいていた果樹園から離れ
見知らぬ誰かの倉庫の棚の上
夥しい瑞々しい香りが充満し
人や鳥や獣を喜ばせる
だけど梨や林檎達はきっと寂しいだろう
この香りはあの朱夏が
藍色の空と薔薇色の土から作り出した実り恵みだ
感謝を忘れて食うに耽る我等
何時までもこの果実を食える
そんな誤解をして貪るだけだ
この星の恵みは自分が培ったと栽培業者が言う
土の水も光も恵み貰うに過ぎないのだけど
そんなこと人間は気付かない
齧り付く果実の肉色に
滴り舐める甘い果汁に
生命の存在を認めない
確かに果実は食われるために存在するけれど
其れは親が子の種を撒くためで種を廃されるためではない
子を殺されるためではない
未来の種の存続を説に願う
鳥に託した親心
人に食われたくは無いはずなのに
今日もわたしは食う
生命の根源をわたしは食う
何も未来へ繋げずに只食う
いつか果樹達は復讐するだろう
子を潰す人間に報復するだろう
もう其のときが来ているのかも知れない

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