Thursday, February 23, 2006

春分の世界

暦の二十四節気は宇宙が定めた科学的なもの
決して陽気や体感温度で定めたものではない
また春分が訪れる
中東の砂漠に火花が咲き乱れ
黄砂降る空を火炎が焼き払い
信じる神が違うだけで大量殺戮が始まった日
わたしはまた行く
帰るに近い感傷を抱き荒れ果てた廃墟へ向かう
ただの仕事だ
ITのインフラ整備
無機質な金儲けと
逆らえない命令で
わたしは植えたアロエはまだ生きているだろうか
大麻の代わりに栽培した芋や麦は実っただろうか
答えはNO
承知の上
拾う骨は炭化し
埋める肉は焼かれ
浴びる血は一瞬で蒸発した彼の砂漠
英兵が少年を虐待した
米兵が老人を虐殺した
多国籍軍が婦女を陵辱した
其れでもアラーはジーザスを許した
だけれどムハマンドヘの諷刺は禁忌
新しい憎しみがまた増える
彼の砂漠は今
新しい民主化へ向け新しい主導者を選び新しい間違いを犯した
今度こそ神は許さない
長老は嘆き悲しみ老いていく
若者は勇み逸りて死んでいく
残されるのは持ち主を失った兵器だけ
再生を象徴する春の訪れ春分
宇宙が許した季節の珠玉宝石
血塗られて穢されて殺し合う
また春分が訪れる
明日また日は昇るけれど
其の日昇を拝める可能性は少ない砂漠
わたしはまた向かう
必ず帰ると約束した彼はもう死んだが
死後を信じるわたしは約束を守りたい
四月の訪れは確実だけど
わたしは四月に生きているとは限らない
誕生日を迎える前に少しでも早く死のう
不順な死の願望は膨れわたしの背を押す
もし息絶えるなら
雑踏の中より
真実孤独な砂漠がいい
密かな祈りは神に届き
誰にも看取られず最期の吐息を漏らしたい
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