Sunday, May 21, 2006

wr紅慕情

雪解けの音は春の囁き
一つの雫が川の流れを作り大海へ旅に出る
暮れてゆく度に移り行く景色は
そっと季の悪戯
嗚呼何故だろう
冷たい水に優しさを感じるのは
凍える風に慈しみを感じるのは
わたしは冬の申し子だからか
わたしに春は似合わないのか
南に傾く春風は何も語らない
椿の花が落ち桜が咲く
梅の香は国中に漂い世界へと広がってゆく
全てが紅に染まる季節の節目は
そっと時の夢想
嗚呼何をだろう
こんなにも心が追い求めるのは
あんなにも皆優しいというのに
わたしは何を探すというのか
わたしは冬を願う生物なのか
眩しさ増す太陽は無言のまま
梅の香が掻き消される
黄沙が降る積もる舞い踊る狂ったかの如く
世界は黄に染まる赤き血を覆う
砂が傷めたか
風が凍みたか
この瞳には涙が滲む
誰が為でもなく自分の為に
誰を探すのか何を求めるのか何処を目指すのか
春の朧に思考が解けてゆき
このまま雪解けの雫になりたい
こうして舞い狂う砂になりたい
そうやってわたし世界中を巡る
巡礼でも呪術でもない
足跡を残す為に旅立ちたい
此処が嫌いなのではなくて
何処かがわたしを呼ぶから
紅も桃も黄も捨てて唯蒼く
染まりたい
溶けたい
眠りたい
生きたいかと自問自答する

行きたい往きたい逝きたい
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