Friday, June 09, 2006

wrp死の遺産

独裁主義国により拉致されて死んだ
友人の母親に首を絞められて死んだ
誤作動エレベータに挟まれて死んだ
超大国軍正義の爆撃で弾けて死んだ
政治に如何利用できるか
今後の動向はどんな風か
慰謝料はいくらになるか
いい気味やっと死んだか
其々に与える形容は違う
どれも皆同じ人の死
世間は大騒ぎをする
だけど其々に対する
喜怒哀楽は異にする
昔々人一人の命は地球より重いんじゃなかったっけ?
気が付けば誰かが死を天秤に掛けて
いつからか人の死は過重減軽されて
残されたものが表す感情や見せる表情も違い
残して逝くものは自分の葬式の参列者を数え
身勝手な喜怒哀楽を空に落として去っていく
遺されたものだけがきっと真の死の重みを知っているのだ
其れは本当はとても軽いもの
重みといえないほど軽いもの
誰もが自分の死を少しでも重くしようと
必死に生きて偉業を成し罪悪を為し遺産を作り遺灰を遺す
結局残るのは炭化した骨だけ
付属して管理が面倒な位牌や遺物が転がってる
其れも遠からず不燃ごみに出されてもう何もなくなる
ならば僅かな上っ面を滑る涙より
耳元煩い蚊を潰したような快感を遺したい
あんな奴なら死んでよかったと言われたい
間違っても誰をも悲嘆にくれさせたくない
さらっとさっぱりすっきり
消えたい
死んでないだけの生きてもいないわたしは
人生をサボってる
だから何度でも失敗するのだ
だから死んだ人が羨ましくて
だからまた懲りもせず首括る
そしてまた醜い痕跡が増える
どんな酷い死に方でもいい
誰にも泣いて貰えずでいい
人生のサボタージュを止めたい
鼓動と脈動と息の根を止めたい
拉致でも絞首でも圧迫でも爆撃でも
諦観の境地に立って受け止めよう
そんなに立派じゃないけど
かなりわたし苦しんだから
もういい加減楽になりたい
わたしが遺す喜怒哀楽は少しでもあるだろうか
わたしのために流れる涙は一粒もないだろうな
ただ空が雲が
疎ましい霧雨をくれるだけ

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