Thursday, January 12, 2006

白秋忌

青春朱夏白秋玄冬
四季巡り来たりて
我は年古る
西より白虎睨みて
寂漠孕む紅葉と風
我が胸染む
白否来るべき玄へ
髪には白増すとも
我が心沈む
ヴィオロンの音色
秋の日の溜息混ぜ我を貶める
ヴェルレーヌを想起させる
北原白秋の秋の詩
其の傑作謀反にて
いとほのにヴィオロンのその絃のその夢の
哀愁のいとほのにいれひ泣くとヴィオロンの幽けき音は
往く秋を惜しみ浸る詩人
落葉がアスファルト擦る音さえ彼の格調高き音色に聞き間違う
こころ急き
草は刈らずも時来なばおのずと枯れむ
山人も冬を待つなりおのずから枯るるを待つなり
心急く人に覆い被さるような自然の理を説いた詩
死に急ぐ我へ
生き急ぐ彼へ
窘める大人になりたくないという若者達へ
喩え大人にならずとも
必ず老人にはなるのだ
誰か教えてやってくれ
秋のおはりと同じくも
人も草も自ずと枯れる
寒きほのほに黄の入日さしそふみぎり
朽ちはてし秋のヴィオロンほぞぼぞとうめきたてゐる
彼が引き当てた季節秋
自ら名乗る季節をこそ
彼の詩人は愛したのか
其の詠人は憎んだのか
邪宗門の影にては
暗きこころのあさあけにあかき木の実ぞほの見ゆる
しかはあれども昼はまた君といふ日にわすれしか
若き日の彼の中秋に目立つ
赤い木の実はさても幻想を誘うものか
暗い朝には見えていた赤い木の実
しかしながら昼は君という日光に消され忘れてしまうのだ
何もかも誰も彼も
きっとこの秋が終わる頃
やっと次の冬が来たる頃
赤い実は鶏に食われ海を渡り
ヴィオロンの絃も凍て付きて
寂しさから厳しさへ
白から黒へ
夢から現へ
涼から寒へ
霜から氷へ
霙から雪へ
世の総てが氷点下
やっと綺麗になる

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