ムスリムの家
ムスリムは子供が好きだ子供はアラーからの贈もの物授かりもの
そう言って大家族は
大らかに笑う
和やかに話す
其の影に
人目を忍ぶ涙を隠す
末の子が帰ってくる
家族全員での夕餉が始まり過ぎて終わる
其の途中
父母は何度も入り口を見る
兄弟姉妹の内まだ誰か帰ってきそうな気がして
全員といいつつも日に日に欠けてゆく家族
アラーからの授かりものはアラーの御許へ還ったのだ
だから悲しくは無い
だから涙を流さない
だけど裏庭で涙隠す
表では明るく笑って聖戦殉死を受け入れ
子供達は帰っただけ
そう自分を偽り騙す
そう見えるのは
そう思えうのは
わたしが異邦人だからか
わたしは異教徒だからか
そして隠された悲しみは
更なる悲しみに吸収され
憎しみに変わる
繰り返し止め処ない戦争
世界のどの神様でもいい
どうかもう其の御許に子供達を連れて行かないで
親子が笑って暮らせる世界
ちっぽけでも重要な願いをお聞き届けください
もう見たくない流せない涙の大河
空々しく笑う夕餉
いい加減止めよう
憎しみは憎しみしか生まない
絶対強さや優しさは生まない
銃を見慣れた異邦人の目には
砂色の悲しみが莫獏と広がるばかり
砂漠の国
石油の国
戦争の国
ムスリムの家が在る
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