Thursday, January 12, 2006

ムスリムの家

ムスリムは子供が好きだ
子供はアラーからの贈もの物授かりもの
そう言って大家族は
大らかに笑う
和やかに話す
其の影に
人目を忍ぶ涙を隠す
末の子が帰ってくる
家族全員での夕餉が始まり過ぎて終わる
其の途中
父母は何度も入り口を見る
兄弟姉妹の内まだ誰か帰ってきそうな気がして
全員といいつつも日に日に欠けてゆく家族
アラーからの授かりものはアラーの御許へ還ったのだ
だから悲しくは無い
だから涙を流さない
だけど裏庭で涙隠す
表では明るく笑って聖戦殉死を受け入れ
子供達は帰っただけ
そう自分を偽り騙す
そう見えるのは
そう思えうのは
わたしが異邦人だからか
わたしは異教徒だからか
そして隠された悲しみは
更なる悲しみに吸収され
憎しみに変わる
繰り返し止め処ない戦争
世界のどの神様でもいい
どうかもう其の御許に子供達を連れて行かないで
親子が笑って暮らせる世界
ちっぽけでも重要な願いをお聞き届けください
もう見たくない流せない涙の大河
空々しく笑う夕餉
いい加減止めよう
憎しみは憎しみしか生まない
絶対強さや優しさは生まない
銃を見慣れた異邦人の目には
砂色の悲しみが莫獏と広がるばかり
砂漠の国
石油の国
戦争の国
ムスリムの家が在る

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