Thursday, January 12, 2006

死刑囚

虚しい
やるせない
拠りどころの無い気持
誰にも話せない
独りではどうする事も出来ない
罪の償いか
わたしが生まれる前に十九歳だった永山則夫
名古屋で四人を射殺した元死刑囚の手記だ
此れほど重い言葉を今まで目にしたことが無かった
法学院で学ぶことは旧仮名遣いの条文だけではない
こうした生々しい苦汁の溢れる懺悔をも学ぶ
自分の弁論一つで
誰かを死に追いやるか
誰かに更生して貰うか決まる
第一審は死刑を言い渡した
控訴審は無期懲役に減刑した
死刑適用基準に厳格な枠を嵌め
未成熟なりと更生の余地を見出し
死刑廃止論を表明する衝撃的判決だった
しかし最高裁は罪質動機被害者数など詳細な適用基準を示し
差し戻し判決を経て
死刑が確定した
世に言う永山基準だ
贖罪を巡り大きく揺れた裁判だ
一九六八年に人を殺した永山は一九九七年に自らの死で償った
長い長い時間だったろう
血を吐く如き魂の懺悔が紙面から指に胸に伝わる
無知の涙と題された手記
今再び四人を殺した少年達が裁かれる
判決の主文は死刑
其れ自体罪悪である死刑を以ち
人が人を裁く
本来ならば許されぬこと
其の罪悪を言い渡すとき
身の処罰を言い渡されるとき
人と人とではなくて
裁判官と被告という
無情な関係が生じる
死刑執行人の涙も絞首される覚悟も同じく透明で重い
そんな辛さをわたしは耐えられるか
わたしで堪えられるか
わたしが絶やしたいと
思いは交錯し
裁判所の向右側に偏る
磨かれた裁判所の壁は
涙で艶やかなのだろう
少し自信を失くしわたしは
徒呆然と
死刑判決を聞いた

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