Thursday, January 12, 2006

老い人の背中

秋の黄昏は黄金色
街が少し優しくて
風が少し寂しい時
老いし人の後姿が父に似て
緩い歩みを追い越し難く
我も歩みを顰め
長い影を重ねた
秋の夜は長く延びネオンも色褪せて
涼やかな街歩けば
老いし人の背中が母に似て
俯きとぼとぼ歩む速度に我も合わせて
お顔を伺った
戦争を体験した人達は皆厳しく優しく寂しいお顔
慰めを拒む強さと
哀れを誘う背中を持ち合わせていて
擦れ違う若人を戸惑わす
世話を焼く大人を困らす
無邪気なる幼児を泣かす
見る夢はどんな色ですか
飢渇も今は治まりますか
問わず語りの戦時中昔話
誰にも通じぬ日は近未来
嘆きますか叱りますか怒りますか
平和に慣らされた若人は躊躇いも無くあなた越え
吐き捨てる如く言い放つ
除けよ邪魔
注意しないあなたの背中
何より重く
真実を語る

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