Thursday, January 12, 2006

Ddisposable men.

二〇〇五年十一月一日午前九時
泡の飛沫が弾けた余波は
突如不況真只中の現代に甦った
東京証券取引所
日本経済の中枢
其の更に中枢たる大型システム
其れは泡時代の幻影
弾け散った泡の悪霊
あの頃開発に携わった技術者達はもういない
切り捨てられたのだ
そう我等は使い捨て
古い技術など不要物
常に最新を先鋭をと貪り続けた社会の闇
トイレットパーパーより簡単に使っては捨てられる我等技術者
しかし密か悪霊は息づいていた
リタイア組の年配エンジニアは霜月朔日の恐怖を予言していた
年に二度しか動かない期末処理プログラムは
新しい世代に顧みられず置かれ
上から上にどんどんとLANがWANが積み重なった
大型汎用機を扱えず
馬鹿にする新進気鋭の若手達はお手上げだ
累々ダンプリストも解析できず壊れていくネットワークを
ただ呆然と眺めていた
真面目が嫌いな連中
地道努力を嫌う若者
彼等には異星人に見えたろう
0と1だけのリストを分析する
今は捨てられた我等旧技術者が
膨大なシステムの復元は不可能
地盤に馴染まぬ楼閣だったのだ
まるで臨海線沿いに広がる新興住宅地群
夢の島と呼ばれたゴミを埋め立てた
緩々の人工浮島に頼りなく建つ家々
一度大地が怒れば
震源地より凶悪な被害を被る
儚い本当の夢の島
現在の株式市場取引も同じだ
素人がネットででっちあげた券面額の無い株
売り買いして架空の儲けを誇るように話す
株券に触れたことも無い人が
投資家だと自画自賛している
不可視の網羅が綻びたら
ほらこんなモン
何もできないで
上下する株価を傍観するしかない
地獄へと呼び戻された我等旧い技術者は
新手達を横に
除け砕け散ったデータを継ぎ合わせた
だけど綻びは広がるばかりなのだ
其の真実事実が新手には見えない
まだ直せると言い張り
応急措置を終えた我等を追い出す
わたしに言えるのはたった一言
さようなら
当て嵌めたなら直るけど
継ぎ合わせては直らない
バブル時代の夢がまた一つ甦り
斯くも激しく
炸裂した

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