Saturday, January 14, 2006

wrm宇宙船ペペペペロン

  • 宇宙船ペペペロンは旅に立った
    滅亡に瀕した地球の希望だった
    二十五人の子供を乗せて遠くへ
    遥か彼方アンドロメダへ向った
    十二人の女の子と十三人の男の子が
    二十四個しか冷凍睡眠カプセルの無い船にいた
    活発な子は大急ぎでパートナーを見つけ手を繋ぐ
    泣き虫ロンは一人きり
    食事も睡眠も独りきり
    でもまだ希望があった
    新しい女の子が生まれれば
    その子と対を成し手を握り
    未知なるアンドロメダにて
    再びの人類繁殖の源となる
    けれどアンドロメダは遠く
    冷凍睡眠無しには辿り着けない
    だから皆は共謀した
    ペペペペロンの外壁に傷ができたと
    男の子全員が外に出た
    ロンだけは船尾を調べるよう頼まれ
    ロンは怖々船尾へ向った
    ロンを残しドアは閉まった
    凄まじい炎噴きペペペペロンは再び旅立った
    引き返せない永遠の旅路
    往く中では
    仲良く幼い男女が愛を確かめ合って
    何時終わるとも知れない冷凍睡眠に就いた
    独り残されたロンは一人ぼっちで彷徨う
    何処を探しても仲間はいない
    否仲間は最初からいなかった
    邪魔者ロンは気が付いた
    泣き虫ロンは気が触れた
    遠い旅路を遡る
    懐かしい地球は遥か彼方
    ペペペペロンも遥か此方
    背負う酸素ボンベが尽き
    気の違ったロンは安らいだ
    懐かしい地球は遥か彼方
    懐かしい地球へと降る星
    懐かしい地球にロンの星は降る
    光が地球に届く頃
    懐かしい地球には誰もいない
    ロンの光を見るものはいない
    泣き虫ロンは遥か彼方
    星になっても一人
    光になっても独り
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