Sunday, May 21, 2006

w春朧

憎ませて
愛されないならせめてもと
忘れ得ぬ君の面影に乞う
春の入日は朧なるを以ち
桜と菜の花の競演や如何にか見事
暮れなずむ街に君の遺灰が舞う
あの世この世を行き惑うか
なれば我道に立ちて君を導かむ
野末に春日傾くこの時
もう聞こえぬ君の言葉
もう聞き返さぬ我が安堵
君の過去には踏み込めず踏み込まぬ
唯偏に君愛しばかり
帰る鳥は弔いの列に並び行く
悲しむか嘆くか喜ぶか我が心定まらず
君の不在に理由をこじつける
梅桜菜の花咲く稀有なる景色に春は朧
白梅の咲き零れおり
紅梅の薫りおきては
菜の花や東風に戦ぐ
春遅きこの地にては南方の海の眩しさ目に染む
西の浄土が真っ赤に焼ける頃
君はまだ逝き迷うか
往く雁に宵の明星光滴らせ先を照らし
逝く君に蝋燭の火炎捧げて末を照らし
解けゆくまんさくの花細く黄色く縮れた花弁に
春の臆病を知る
春の朧夕は魑魅魍魎も躍り出すかと思わせる
花見にて桜吹雪に酌み交わすはずの酒杯は空
君の亡き世の春朧
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